近年、訪日外国人の増加にともない、日本国内で民泊を始める個人オーナーが急増しています。Airbnbなどのプラットフォームを通じて副業や投資の一環として注目されている民泊ビジネスは、初期費用も比較的少なく、空き物件を活用できる点でも人気があります。
しかし、民泊は単なる不動産運用ではありません。実際にはホテル業に近く、「お客様を迎える仕事」であることを忘れてはいけません。特にトラブルへの備えは非常に重要で、近隣住民との関係や清掃体制、ゲストとのコミュニケーションなど、対応を誤ると大きな問題に発展することもあります。
本記事では、民泊運営者が実際に直面しがちな「よくあるトラブル」と、それに対する具体的な「対策方法」について、事例とともに詳しくご紹介します。
目次
騒音トラブル|最も多い近隣住民からのクレーム

実際のトラブル例
- 夜間に大声で話すゲストがいて、隣人からクレームが入った
- 深夜のチェックインでスーツケースを引きずる音が響いた
- 宿泊者がパーティーを開いてしまい、複数人で騒いでいた
民泊において最も多いクレームが騒音です。特に、マンションや住宅街にある物件では、近隣住民の生活リズムとずれることで摩擦が起こります。ゲストにとっては楽しい旅行でも、周囲にとっては迷惑行為となってしまうこともあります。
対策方法
- チェックイン時にハウスルールを徹底周知
ゲストへの案内資料や室内の掲示に「騒音禁止」「夜間は静かに」の文言を明記し、入室時に確認してもらいましょう。
- 騒音センサーの導入で早期通知
スマート騒音センサーを導入し、一定のデシベルを超えた場合に自動通知が届くように設定すれば、早期の対応が可能です。
- 深夜チェックインを制限してトラブル防止
22時以降のチェックインを禁止し、やむを得ない場合は個別対応にするなどのルール設計も効果的です。
実際に福岡県では深夜2時ごろに近隣住民から警察へ通報がありましたが、
原因を追究していくと、騒音問題のほとんどはあることをするだけで大幅に改善されることが分かりました。
ゴミの分別ミス・放置|トラブルになりやすい衛生問題

実際のトラブル例
- ゲストがゴミを分別せずにまとめて出してしまい、近隣から苦情
- ゴミ収集日以外に玄関先に放置され、悪臭や景観トラブルに
- チェックアウト後に室内にゴミが放置されていた
日本のゴミ分別は外国人ゲストにとって非常に複雑で、トラブルの元になりやすいです。また、分別ルールを知らないだけでなく、そもそもいつ、どこに出すのかもわからないことが多く、地方自治体によっても細かく区切られているため、事前説明と物理的な工夫が必要です。
私が日本へ来たときに缶、ビン、ペットボトルを分けて捨てる必要があったのには衝撃をうけた記憶があります。
対策方法
- 室内に多言語のゴミ分別マニュアルを設置
図や写真付きのガイドを、日本語・英語・中国語・韓国語などで表示しましょう。
- ゴミ箱にシールで分別を明記
可燃・不燃・資源などを色付きシールで明確にし、視覚的にわかりやすくしましょう。
- 清掃業者との連携でチェック体制を強化
清掃後に残ったゴミがないか、チェックリスト、報告の仕組みを作りましょう。
鍵の受け渡しミス・入室できないトラブル

実際のトラブル例
- キーボックスが開かなかった
- 遠隔でスマートロックを操作しても開けられなかった
- 番号を間違えて連絡が深夜に来た
「到着したのに入れない」というトラブルは、ゲストにとっても運営者にとっても非常にストレスになります。特にチェックイン時に連絡が取りにくい時間帯だと対応が遅れ、低評価レビューの原因にもなります。
対策方法
- チェックイン手順を写真付きで共有
キーボックスの場所や使い方、スマートロックの解除方法など、ステップごとに説明したガイドを事前に送信しましょう。
- 遠隔対応スタッフを常駐
早朝、夜間帯に備えて、電話またはLINEで即時対応できる体制を整えておくと安心です。
- すべての可能性を考慮した説明書
鍵が回りにくかったり、キーボックスが分かりずらいところにあったり、あらゆる状況を記載した説明書を準備しましょう。
清掃不備・衛生トラブル

実際のトラブル例
- 髪の毛やホコリが残っていた
- シーツが交換されていなかった
- 前のゲストの私物が残っていた
宿泊施設における清潔さはレビューに大きく影響します。民泊はホテルと違い、清掃の外注先が品質にばらつきやすく、「きれいではなかった」という評価は致命的です。
対策方法
- 清掃チェックリストの活用
掃除すべきポイントを明文化し、チェックシートを記入、報告、改善などのフローを構築しましょう。
- 定期的なオーナー自身による視察
実際に自分の目で清掃状況を確認することは、業者との信頼関係の構築にもつながります。
- 業者の変更を検討
何度も問題が発生したり、対応が遅い業者は、見直すことも必要です。
近隣住民との関係悪化

実際のトラブル例
- 共用部(廊下・エントランス)での騒ぎや喫煙
- 子どもの泣き声や走る音に
- 住民から管理会社への通報や張り紙
民泊は住宅地に存在するケースが多く、日常生活を送る住民との摩擦は運営継続に直結します。場合によっては管理組合から民泊営業の禁止措置が取られることもあります。
対策方法
- 事前の住民説明会やご挨拶
民泊を始める際には近隣への説明や、トラブル時の対応窓口を明示しておくことが大切です。また、地域によって事前説明は必須の場合もあります。
- 共用部や玄関先など目につくところに注意喚起ポスター
騒音・喫煙などの注意点を明記した掲示物を設置し、ゲストへの意識づけを促しましょう。
- レビュー対応・信頼の可視化
オンラインレビューやゲストへの評価システムを活用し、健全な運営であることを示すのも効果的です。
まとめ|トラブルは予防と迅速な対応がカギ

民泊運営においてトラブルをゼロにすることは難しいですが、事前の準備と万が一の対応体制を構築しておくことで、多くは回避することが可能です。
また、トラブル以外でも近隣住民への説明や、24時間対応など一人では荷が重い業務もあります。
民泊運営代行会社に依頼することで、このような対策も可能となり、ゲストからの高評価、リピーターや収益アップにもつながります。
日本では当たり前だけど、海外では当たり前ではないという事を念頭に、トラブルを恐れず、正しい知識と対策を持って民泊運営を楽しみましょう。